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レポート2023.04.16沖縄初上映!カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で観客を熱狂させた沖縄の社会問題を描く人間ドラマ『遠いところ』舞台挨拶
4月16日(日)、那覇市のテンブスホールにて『遠いところ』の上映と舞台挨拶が行われました。
この作品は、沖縄市のコザを舞台に、17歳のアオイが幼い息子と夫の3人暮らしをするなかで直面する過酷な現実を描き、社会の理不尽と不条理を突きつけられ、連鎖する貧困と暴力に抗いながらも “生”を渇望するアオイの姿と、我が子への想いによって動き出す人間ドラマ。本作は第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で最高賞を競うコンペティションに選ばれ、現地の観客に熱狂的なスタンディングオペーレーションで迎えられた作品となっています。
上映終了後、主演の花瀬琴音と石田夢実、佐久間祥朗、工藤将亮監督が登壇しました。花瀬は「たくさんの応援を頂いています。やっと皆さまの前でお披露目できてうれしいです」と挨拶。
佐久間は「映画を観たあとの皆さんの僕に対する良い印象がないんです!」と笑いを誘いながらも、「心に突き刺さるような映画に携われたのがまずうれしい。そして、皆さんと映画を共有しているこの時間がうれしい」と、この場での喜びをかみしめていました。
工藤監督は「僕の顔はどうも沖縄の人っぽく思われているみたいで、撮影している時も沖縄のオバーに何度も『京都の人だよ』と言っても信じてもらえなかった(笑)。公開前に沖縄の皆さまの前で披露できて感無量です」と笑顔で語ってくれました。
映画をつくる過程について工藤監督は「貧困やシングルマザー、DVなどの問題が沖縄の各分野から発信されていて、それを知って映画を創りたいと思いました。(映画の前段階として)僕は沖縄に何のあてもないのに取材しはじめて、ようやく完成しました」と明かしてくれました。
1カ月コザに住んで役作りをしたあとに撮影に参加したという花瀬は「アオイと同じ境遇の子たちを取材したり、オジーオバーの話を聞いたりしてから撮影に挑みました。実際に映画でアオイたちが暮らす荒れた家に1カ月間住みました。ハエは飛んでくるし、湿気はすごいけど、大家さんがとても優しくしてくれました」と明かすと、観客から感嘆の声が上がりました。
佐久間も役作りで工事現場に朝4時集合~夕方5時勤務というアルバイトをしていたそうですが、勤務先には役作りのことを隠していたため、仕事帰りに先輩から奥さんと子供の分ということでカップラーメンやキャンディを持たされ、「自分は佐久間なのかマサヤなのか、自我が破綻しました」と笑います。
工藤監督は「映画のように、現場の仕事がきつくて佐久間は現場から逃げたんですよ。電話も取らなかったみたいで、現場から僕のところに電話がきて平謝りしたこともあります」と撮影エピソードを話すと、観客から大きな笑いが起こりました。
最後に工藤監督は「公開は7月7日ですが、沖縄は1カ月早く、6月9日から先行して上映します。皆さんからぜひ発信して頂きたいと思っています。少しでも心が動いた方には、隣のオジーやオバーなどに勧めていただき見ていただいて、この問題を考えるきっかけになってくれたら」と、舞台挨拶は幕を閉じました。
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