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レポート2023.04.15谷進一監督「ぜひ沖縄でまた上映会を」上映会がすぐに完売した『ヒゲの校長』舞台挨拶

4月15日(土)、那覇市の桜坂劇場ホールCで特別上映作品『ヒゲの校長』の上映と舞台挨拶が行われました。

この作品は、大正末期から昭和初期を舞台に、聴覚障がい者への教育は口話法が主流となり手話を締め出したことに異論を唱え、権力に負けず手話を守った髙橋潔の真の教育と、多様な文化が共存する社会を目指すストーリーを描いています。実話を基にした映画となっており、ネイティブな手話だけでなく、ろう教育や手話の歴史も学べるのも特徴となっています。

上映終了後、那須英彰、小川和久、林美帆、笹岡亮、花村珠樹、鈴木萌愛、谷進一監督が登壇。新型コロナウィルス感染症対策で十分なスペースを確保する観点から、舞台挨拶は前半と後半の2部構成で行われました。

前半に登壇したのは谷進一監督、花村、鈴木、小川の4人。沖縄国際映画祭の雰囲気を見て、小川は「昨日大阪から来ました。那覇空港に着いたとき沖縄国際映画祭の旗があり、大きな催し物だとわかりました」と笑顔。鈴木も「国際通りにもいっぱい旗があってびっくりしました」と興奮冷めやらぬ様子でした。

谷監督は、「この映画は、聞こえる人と難聴の人とろう者と人工内耳が入っている方がごちゃまぜになって、一緒に作り上げた作品です。最初はコミュニケーションが難しく、ぶつかってばかりでしたが、だんだん皆も手話を覚えて乗り越えて、やっと完成しました」と、完成までに道のりが大変だったことを明かしました。続けて「手話の付いた劇をやっていましたが、劇というものは公演が終わったら無くなってしまう。それがもったいなくて、残したくて、ろう者の人が楽しめる手話の付いた映画を作りたいと思って、作品づくりを始めました」と明かしてくれました。

今作品の演技でこだわった点について、小川は「私はろう者なので、昔の手話表現をしなければならないというところがありました。手話や顔の表情だけでなく体も使って、わかりやすく面白く見てもらえるような表現を考えました」と語ってくれました。

後半には、谷監督、那須、笹岡、林が登壇。那須は「(過去に)全国ろう者大会で約1,000人の参加者に向けて1人芝居をやりました。ぜひ映画を上映してほしいという声もたくさんありましたが、映画をつくるには資金が必要なので、困っていたところ、谷さんに色々と協力していただき、上映にいたりました。非常に感慨深く、うれしく思う」と感無量の様子。「皆さんからも『見たかった』などとさっそく声をいただいています。私が年寄りになる前に出来上がってくれて良かった」と満面の笑みを見せてくれました。また、「(映画についての)裏話は4時間ぐらいあります」と明かすと、谷監督は「今回の上映会は、申込みすぐに売り切れになったと聞いています。限定された85人だけが今回観ることができた。ぜひ沖縄でまた上映会をやりたい」と今後の意気込みを語ってくれました。

最後に林は「この作品は感動的で、これからも上映を続けていければと思っています。皆さんの活動を後の世代にも語り継いでいける作品なので、それによって時代や社会が変わっていければいいなと思っています」と挨拶し、舞台挨拶は幕を閉じました。